Wonderful
Chance

Free

 
ペア 2022/2/13 16:53 No.8
(此度の企画の話を耳にした際、当然のように浮かんだのは嫌な予感でしかなかった。バレンタインにチョコレートを、ボーダー隊員達へ渡す。――それが一方的に生徒達から回収され、生徒会の面々によりボーダー本部へ送る形で処理されるというのであれば、また話は別であったかもしれないけれど。何故か話はボーダー隊員が直接チョコレートを受け取る方向に固まったと、それを知るに至ったのは当人が受け取り手の一員に名を連ねたからこそだけれども。嫌な予感は的中したし、何なら複雑な心境であることを否定も出来ないのだ。ボーダー隊員として、組織への好感度を損ねない為の対応という側面だって持っているのだろうことも理解の上で。それでもやはり、良い気分ではないだろう。どうしたって目にしてしまうこととなるのは、同じ制服に身を包んだ見知らぬ女生徒が、己の想い人たる恋人へと義理ともつかぬチョコレートを手渡している様子となるのだろうから。)……み、見たくない……。(直接手渡すとの約束を交わした手前、いつかは現実を直視する必要があるとわかってはいるけれど。それでも他の参加者に紛れる形で手渡すのは、己もまたその他大勢の一人になってしまったのではないかって、――そんなこと、ないとわかっていながら。人だかりから少し離れた所で立往生をする姿を見咎めてか、彼ではないボーダー隊員から声を掛けられて。渡す相手を尋ねるそれへと彷徨った視線が、つい助けを求める色と共に彼の方へと向けられたのを――未だ女生徒に囲まれ続けている彼が気付くかどうか。気が付いたとして、波を掻き分けるに値する理由を、公に持ち合わせていないこともわかっていて、それでも。)
杜若ことは 2022/2/14 00:10 No.9
(学院も良くこんな事を思いつくものだと半分呆れながら話に聞いていた時の事。どうやら郵送ではなく直接の手渡しらしい事実に彼女からのLINEを思い出した。中々時間が合わない中、勤務中でありながら彼女の姿を見られるのは幸運と言えよう。然しながら彼女との関係は一般市民にはトップシークレットだ。現にこんなイベントを作るくらい人気のある隊もいる。面倒事は回避するに限るだろうけど、他の隊員の手に渡るくらいならばと意思はひとつに決まっていた。)いや太刀川さんその日任務でしょ。おれ丁度非番なんで、代わりに行ってきますよ。(あくまで代理人を装いつつも真っ当な理由をつけた提案はすんなり通り、日頃の行いの良さかトントン拍子で受取人に選ばれた。予想はしていたが有名女学院だけあって生徒数も多く、可愛らしい制服に身を包んだ女生徒がこぞって集まっていた。)どーもどーも、応援ありがと。太刀川さんにもちゃんと伝えとくから。でもあの人からのお返し期待しない方が良いよ。(一応の名目は仕事である為それらしい振る舞いをしてはみるものの、軽い口調は平素のまま。そんな中彼女の姿を探すべく隙を見て視線を動かした先、確り捉えたのは制服姿の彼女だった。丁度良く重なった視線に口角を持ち上げるも、隣にいる見慣れたボーダー隊員が気掛かりだ。タイミングを見計らい手渡しからの雑談を切り上げ、紙袋片手に歩みを進めた先は勿論、)…その子、太刀川隊に渡したいんじゃん?さっきから目合ってるし、違うか?(あくまで赤の他人を装いながらも、問い掛けた表情は作り物ではなく自然のもの。彼女が頷いてくれたなら隣の隊員を追い払うつもりではあるけれど。)
出水公平 2022/2/14 09:57 No.15
(詳細を知り得ることこそないけれど、忙しいのだろうということだけは無関係ながらに察し得るボーダーという組織である。憧れの気持ちを持って接する女生徒だって何人も居る筈で、たとえそれが単なる淡い想いでなくとも、芽を摘み取るような真似をしたくはなかった。相手が己の想い人であるとわかっていても、だ。それでも――届いた声が助け舟。ぱっと弾かれたように向けた視線はすぐに目的の相手を捉えるから、)……っそう!そうです、太刀川隊の方にお渡ししたくて。――来てくださったので大丈夫です。ありがとうございました。(後半は隣に立つボーダー隊員へと向けたものだ。ぺこりと一礼を向けたなら、納得した様子の隊員はまた別の女生徒への声掛けを再開した様子。それを見て取れば、思わず零した吐息が安堵に満ちていたのだって仕方がない。渡したい相手なんてたったの一人だと決まっているのだ、そこに他の誰かの助けなど、必要なかった。)……良かったんですか?その、……他にもチョコレート渡そうとしてる子、沢山居るみたいですけど。(何処に誰の目が、耳があるかなんてわからないから。あくまで彼との関係性が対外的には公言していないそれである以上、探り探りの口調は他人行儀のそれとなる。ひとりのボーダー隊員と、ひとりの女子生徒。本来であれば接点も生まれることのない二人が言葉を交わしていることに違和を持つ者が居ないだろうと思えるのは、この状況に感謝をするべきかもしれないが。)わたしなら、後でも構いません。……これは抜け駆けになるかな?(なんて、笑って首を傾げて見せよう。その他大勢に纏められたくはないけれど、あくまで今回はボーダー隊員との立場として訪れている彼である。一人だけの為に時間を割くことは、そもそもルール違反だろうか。)
杜若ことは 2022/2/14 16:25 No.20
(律儀に頭まで下げて礼を告げる彼女の姿からは育ちの良さが伺える。彼女らしい所作にふっと目を細め、思わず動いてしまいそうな手を制止。何処か浮かれていた自分自身を落ち着かせるべく小さく息を吐き出して、無理矢理仕事モードへと切り替えよう。)まあ、ウロウロしてる奴に声掛けるのもおれらの仕事だし。というか貰っても貰っても減らないんだけど、唯我でも連れてくりゃ良かったな。(善意で声を掛けただろう先程の隊員に少しばかり罪悪感を抱きながらも、どうやらまた別の女生徒へヘルプに向かったようだ。ふっと肩の力を抜けたのは彼女の顔を見られたことへの安堵感か。学院での彼女の姿を見られる機会に感謝をしながら、なんとも不思議な気分に駆られる。同じ高校だったなら、なんてらしくもなく思ったりして。軽く雑談を挟む様は同級生とも見えるだろうか。)……それはそれでスリルがあっていいんじゃね?──なんてな、んじゃ"あとで"、な。(少しばかり声を潜めては悪戯に笑みを浮かべた。これだけ沢山の贈り物があったって、たった一つの特別には敵わない。軽く手を振ればそのままチョコの引受人としての仕事を全うしよう。程なくして終わりを告げたバレンタインイベントだったか、男にしてみればここからが本番と言ったところか。トイレに寄ると告げたなら荷物を任せ、携帯のLINE画面を開いた。「今どこ?」それだけ送信したなら周囲を一瞥し、無事に逢瀬が叶えばいいのだけれど。)
出水公平 2022/2/14 23:16 No.27
(本当なら。周囲の視線が無い場であれば、この両腕はすぐにでも彼へと向けて伸ばされることとなるのだけれど。残念ながら四方八方から視線を集める彼だから、分別弁えた一般生徒の顔をして、「大変ですね」との相槌ひとつ。彼個人に向けたものだけでなく、他の隊員へ宛てたものが含まれているということも理解の上で。それでも”貰っても貰っても減らない”――その言葉に何かしらの感情を抱いてしまうのは仕方がないだろう。浮かんだ思いは後で彼へと直接向けることとして、)それじゃあ、共犯になって貰おうと思います。また”あとで”。(普段とはまた異なるスリルを共有する者同士、その場は一旦の別れとしよう。約束を交わすことが叶ったから、体育館内を後にする足取りは軽いものだった。そして、それから暫く――。手にしていたスマートフォンがLINEの通知を告げたなら、すぐに開いて既読を付けよう。返事を打ち込む指先だって、浮かれたそれを隠すことなく。「体育館裏!」――端的に返した言葉の記号を一文字で収めたことを褒めてほしいくらいである。そもそもの会場であった体育館からすぐ近く、その裏を集合場所と指定したのは、下手に違う場所で顔を合わせている場面に誰かが出くわした際に言い訳が利かないと判断したからだ。会場近くであれば、仮に不測の事態に陥ったとしても何とかなる筈だと。そうはならないのが一番だけれど。)……よしっ!(送信したメッセージに既読が付いたことを確認すれば、あとは彼が訪れるのを待つだけだ。手にはしっかりとこじんまりとした袋が抱かれて、それが何を意味するところであるのかは一目瞭然。申し訳程度に前髪を整えていたならば、こちらへ近づく足音が、)
杜若ことは 2022/2/15 00:43 No.32
(今日の忙しさなんて任務に比べたら可愛いもので、お礼を言ってチョコを貰うだけの簡単な仕事だ。そこに彼女の姿もあるのだから疲労感など皆無。寧ろ回復すらしていてもおかしくはない。約束を取り付けた共犯者はどうやら体育館裏にて身を潜めているようだ。LINEの通知に目を通したなら了解のスタンプだけ送り、両手をポケットへとしまい込んだ。僅か聞こえた声を頼りに歩みを進めると、)お、みっけ。 こーとは。(ひょっこりと覗いた先に見えた彼女の姿を確認したなら、申し訳程度に周囲を見て彼女に声を掛けた。関係を隠して話すのもたまには刺激があっていいのかもしれないが、矢張り自然体でいられる方がより良いに決まっているだろう。彼女へ近寄る足取りは軽く、久しぶりに会えた事への気持ちがそのまま表情へと現れている筈で。)よっ、さっき振り。良かったな、女子たちに囲まれなくて。(軽く冗談めいた口調で口角を持ち上げたなら、先程の事を思い出したりして。ピーク時でなかったのが救いだったか。いずれにせよ制限のある出逢い方はこれきりにしてもらいたいところ。そして視線は彼女の手元へと移り、)──んで?それは太刀川隊の誰にあげんのかな?(先程の続きとでも言うような口振りは揶揄い混じりに零れ、分かりきった答えを彼女の口から聞きたかったなんて子どもじみた我儘か。)
出水公平 2022/2/15 21:50 No.43
(体育館裏、一人でそわそわと落ち着かない様は誰の目にも留まることはなかった筈で。足音に振り返る視線は真っ先に目的の相手を捉えるから、瞬時にその表情を明るくするのは彼の前だけの反応である。公平、漸く紡ぐことの叶った彼の名前を一度零して、)良かった、会えた。もう抜けちゃって良かったの?(そのまま彼との距離を詰めるように、こちらからも彼へと歩み寄ろう。忙しい彼とこうして顔を合わせることの叶う機会は貴重なもので、それが己の学院内で為されているということが何とも不思議なものである。)囲まれてたら逃げてたし、明日から少し休んでたと思う。公平は囲まれたんでしょ?チョコ、沢山貰った?(仮に囲う程の人の姿があったのならば、そもそも共犯者染みた物言いなんて口に出来ていたかどうかすらも危ういけれど。それでも今こうして、彼と自然体で会うことが出来ている。それだけが全てだから。)――これはね、太刀川隊のシューターさんに差し上げようと思って持ってきたものなんだけど、(手にしていた紙袋を、彼にもよく見えるように差し出して。中に入っている小箱を包む包装紙は黒。結われたリボンはワインレッドだ。)……手作りの方が、良かった?(恐る恐る、上目に尋ねるのはそんな言葉。バレンタインデーという日を生まれて初めてしっかりと意識して、洋菓子の基礎知識まで取り入れてみたりして。和菓子とは異なる製法の奥深さに眉を顰めたここ数週間の話は割愛するけれど、結果として選んだものは市販のそれであったから。彼が他の子から受け取ったチョコレートの中には、きっと可愛らしい手作りの品だって含まれているだろうし。)
杜若ことは 2022/2/15 23:05 No.48
一応片付いたしな。荷物も任せてきたし、おれ今日非番だからのんびりできんだよ。ことはは?用事ないんなら久しぶりにデートでもしようぜ。(緊急の呼び出しが掛からなければの話だが、そこは空気を読んでくれと願いながら換装を解けば制服姿の男子高校生に戻る筈で。今日の逢瀬をここで終わらせてしまうなんて勿体無いと言わんばかりに、予定にないアクションを仕掛けてみたけれど、さてどうか。用事があろうかなかろうが、何方にせよ暫くは誰にも邪魔されたくないと独占欲を覗かせて。)ははっ。そうなったらおれんとこ転校してこいよ。目の届くとこにいてくれんならこっちも安心だし。…まあ最初だけな。ほとんど嵐山隊のファンだったんじゃねーのかな。広報担当してると顔が広いわ、ホント。(漫画でよく見掛ける呼び出しも本当にあるかどうかは怪しいところであるけれど。軽く笑い飛ばしながら告げる冗談でも僅かな本音が含まれているのは己のエゴかもしれない。とは言え校内に男がいないだけ此方の方がまだ安心かもしれないが。人気の要となった広報担当部隊には感謝の念すら抱いてしまう。)マジか、おれじゃん。すげー、隊服みてーな色。(なんて言葉ばかりのよそよそしさを続けては楽しげに笑みを浮かべて、目にした色合いは先程まで着用していた隊服のカラー。此方の様子を窺いながら問う彼女の言葉から既製品であるのだろう。少し考え込む素振りを見せて、)…そりゃー、ことはの手作りチョコ食えんのかなって期待してたんだけどなー。あー食いたかったなー。(子どもの我儘のようにわざとらしく駄々を捏ねながらちらりと彼女の様子を窺って。)
出水公平 2022/2/16 17:13 No.56
えっ、したい!デート。このまま裏門から出れば大丈夫かな?(二人で居る様子を見られないようにと、指で示すのはそう遠くない裏門の方向だ。勿論そこまでの彼の案内は買って出る心算で。)同じ学校に居たら余計に隠すの大変じゃない?今以上にヤキモキしちゃいそう。広報の人達に直接チョコレート渡せることなんて滅多にないし、こういう機会があったのは良かったと思うけど……目の前でチョコ受け取るの、見なくて済んで良かった。(そうした状況に陥ることはないとは思いつつも、彼と同じ学校に属していたらと考えるだけならば勝手だろうから。とはいえ公にはしていない関係であることは変わらないものだから、物理的な距離が近くなった分、見たくない光景を目にする機会も多くなってしまうのではないだろうかと。たとえば今日目の当たりにする可能性のあった、彼が他の女生徒からチョコレートを受ける姿だとか。)これ売ってるの見た時、公平が思い浮かんだから。(その色を纏うのは彼だけではなく、同じ隊に属する隊員も同様だと知っていながら。真っ先に思い浮かんだのは、己が一番格好良いと思う彼の姿となるのは当然だろう。そして、返された言葉には。)……今日はこれしかないけど~……!……今、練習中なの。チョコレートっていうか、洋菓子作ったことなかったから。……バレンタインには間に合わなかったけど、それじゃ駄目?(秘め事とする筈だったそれを、堪え切れずにネタバラシとしよう。初めて挑戦したクッキーは生焼けだったし、二度目の挑戦は焦げが目立っていて。その都度頼れる同級生に教えを乞うては、最終目標の苺のタルト――これは当然ながら己の欲求に従ったものだけれど、それに向かい続ける傍らで。手作りのチョコレートというものに抱いていた憧れを形にしてみたいなんてことを、思ってしまったものだから。――市販のそれと並べる勇気は、残念ながら。)
杜若ことは 2022/2/16 21:19 No.58
おっし、決まり。行けんだろ、たぶん。まあ見つかったらダッシュな。(仕事ならばあれこれと先を読み作戦を立てるものだが、たまには行き当たりばったりも良いだろうと揶揄い調子の声音で口元に弧を描いて。)あー…確かに。同じ学校ならいっそ隠さねーかも。…仕事じゃなかったら貰わねーって。まあ貰ったやつ、ほとんどオペレーターが食うかもしんないけど。(同じ学校ならば必然と接点も多くなるだろうけれど、他人行儀にじれったさを感じてネタばらしをしてしまう男の未来があるかもしれない。物理的な距離にもどかしさを感じる日もあるが、近ければ近い分の問題があるのだろう。彼女が可愛らしい嫉妬をすることも、不安になるのも。彼女の呟く声にそっと髪の毛を撫ぜたなら平素よりも優しさがこもった言葉で不安を少しでも取り除けたなら良い。)ほんっと、おれのこと大好きちゃんだなー?可愛いやつめ。(軽く笑いながら茶化したような言葉は照れ臭さが滲む。市販のものであっても彼女が自分を思って選んでくれたのだから嬉しさと愛おしさは募るというもの。)和菓子と洋菓子ってそんなに作り方ちげーんだ?なるほどな……まあ、ことはのことだから色々拘ってたりすんだろ?(彼女の言葉に数度瞬いて僅かな驚きを顕にしたのは単なる知識不足から。何か事情があるのだろうと思ってはいたが、どうやら専門外のカテゴリーに四苦八苦していたのだろう。)いーよ、今日じゃなくても。ことはの初手作り洋菓子はおれが一番に食うってことで、楽しみにしとくわ。あ、これ食っていい?(洋菓子に拘らずとも得意な和菓子にしてしまえばいいものを、こうして努力を重ねてくれるのは自惚れてもいいものだろうか。楽しげに笑みを見せては彼女の手作りを楽しみに取っておくことにして。先程貰った箱を見せながら、自分から聞いたくせに既にリボンに手を掛けた。)
出水公平 2022/2/17 20:26 No.64
了解。ダッシュね。……あんまり全速力で走らないでね?(運動神経が悪い訳ではないとは思いつつ、彼に比べてしまえば劣るというのは当然なところなので。置いて行かれるのは嫌だからと、ダッシュで切り抜ける必要性に見舞われた場合にも、距離が開かないようには考慮をしてもらうこととしよう。)本当に?それなら同じ学校の方が良かったかも。今も楽しいけどね、何食わぬ顔してボーダーの話、学校でしたりして。……そうなの?それならわたしも太刀川隊の皆さんに、って用意しておけば良かったかな。(とはいえ有り得もしないたらればだ。今は今で、この距離感を気に入っていることもまた確かだから。いつか公にする機会があれば良いとは思うけれど、そうでないうちは彼とだけ秘密の共有を楽しむこととするつもり。撫ぜる指先に瞳を細めて、降下しかかった機嫌も浮上気味となろう。彼の仲間達の話へ話題を及ぶ余裕が生まれるくらいには。)だっ、……好きなことくらい、知ってるくせに。今更でしょ。(気恥ずかしさ故に逸らした視線と、少しばかりぶっきらぼうな口調となったって。募る想いが常に誰へと向けられているかなんて、言わずとも知れた話であることに違いはないから。)作ってみると、奥が深くて感心してばっかり。……拘らなかったら、渡せてたかも。でもそれじゃあ、手作りの意味ないような気がして。(単に溶かして固めて、それだけであれば初心者の己でも容易に為せたけれど。口では何と言いつつも、他の女子から手作りのチョコレートを受け取っているであろう彼に向けてと考えてしまえば、簡単な道に逃げることは己のプライドが許さなかったのだ。たとえ彼を待たせることとなったとしても。)…っうん!楽しみにしてて。ちゃんと力作、作って渡すから。――今日はそっちで満足してね。(食べていいよ、続けた言葉はリボンが解かされる瞬間を見届けながら。顔を出すのは色とりどりの種類豊かなアソートで、仮に彼だけでなく隊の皆で分けることとなっても良いように。決め手は何てことない、包装を好ましく思ったことと、)そっちのガナッシュ、苺のピューレが入ってるんだって。(己の好みのチョコレートが含まれているからだ。)
杜若ことは 2022/2/18 00:49 No.69
(学業も運動も両立している彼女ならば転ぶなんてヘマはしないだろうが、生身の体は矢張り限界がある。「いざとなったらおれが担いでひとっ飛びしてやるよ。」なんて冗談めかした言葉だが、本気でやりかねないのは彼女にも伝わっているだろう。)へえ、どんな話してんの?誰がカッコイイ〜とか?女子ってそういうの好きそうだもんなー。(一般論でしか考えることが出来ないが、今日の様子から話のネタになる日常が容易に想像かつく。彼女もその輪の中にいるのだとしたら在り来りな話題でも気になるもので。とは言え自分以外の隊員の話題を持ち出されてもそれはそれで複雑な気持ちが芽生えたりして。「いやいらねーって、勿体無いから。」なんて失礼な物言いは此処だけの話しに留めておくとして、ただ小さな独占欲から生まれたものだなんて絶対に口外しないけれど。)まあそれはそうなんだけど、改めて噛み締めてんの。あーほら、充電的な?(視線を逸らす姿がまたいじらしく、ふっと目を細めては自然と頬が緩んだ。同じ分だけの想いが彼女へとちゃんと伝わってくれていたら良いのだが、どうしたって照れ臭さは混じる。彼女の髪へと触れた手をそのままくしゃりと乱暴に撫ぜては、悪戯に笑みを浮かべて。)ふうん?凝り性っぽいもんな、ことは。お菓子作れるってだけですげーって思うけな、おれは。(和菓子屋の娘に生まれたからか、それとも彼女のせいかくゆえか、菓子へと注ぐ拘りは和洋とも同じなのだろう。真剣な様子を彼女らしいと小さく笑を零して、また更に楽しみが増えることとなった。)あ、ちなみに何作ってくれんの?(何も聞かずに当日を待てば良かったのだろうが好奇心が顔を出した。箱を開けばカカオの香りが鼻腔を擽り、スタンダードなトリュフを一粒摘んで口へと放り込んだ。指についたココアをひと舐めしては、「無難に美味い。」なんて失礼にも聞こえる感想をぽつり呟いた。さて次はと目移りしていると聞こえてきた彼女の言葉に視線はその一粒へ。)ことは、口開けてみ?(可愛らしい色合いのチョコレートをつまみ上げたなら彼女へ注文をひとつ。確か苺が好きだったような記憶があるが、もしも彼女か渋るような事があればその手は引っ込めるつもりではあるけれど。)
出水公平 2022/2/19 18:26 No.77
(続いた言葉が冗談のそれであることは承知の上ながら、それでも冗句の中に本音を織り交ぜることのある彼だから。「担ぎ方は先に聞いておきたいわ」と返したのは、まるで荷物かのように彼の肩へと担がれる姿が易々と思い浮かんだからである。これでも年頃であるが為に、多少なりとも周囲の目線を考えてもらいたいので。)今日も先輩が格好良かった~、とか。人気な先輩って何処にでもいるからね、性別問わず。もし共学だったらもっと違う騒ぎ方してたのかもしれないけど。(勿論学院内に留まっての話ではなく、他校生の話に話題が及ぶこともしばしば。それを敢えて口にすることがないのは、自身にとっての一番が誰であるのか今更言わずとも彼には伝わっているだろうと言い切れるからと、たとえ同性でも余所見をすることなんてないのだということの証左である。「いらないならいいんだけど」と返しはするものの、いまいち煮え切らないのは仕方がない。他ならぬ太刀川隊に所属する彼の言葉だから、これ以上粘るつもりはないけれど。)充電するなら、……もっとちゃんと、わたしも充電したいんだけど。(柔く撫ぜる指先も好ましいし、こうした触れ合いが許される距離感が意味することも理解している。それでも、たった一人の特別な位置に居ると知っているからこそ、それ以上の触れ合いだって求めても構わないだろうと思うのだ。ただでさえ忙しい彼の時間を独占することの出来る機会を逃す理由もなし、こちらから伸ばした指先が彼の服の裾を摘まむのが、精一杯の訴えのつもり。)お兄ちゃん達みたいにはいかないけどね。何かは当日までのお楽しみ、って言いたいけど……ザッハトルテ。メレンゲが上手くいかなくて、でもなんとなくわかってきた気がするから。もうちょっと待ってて。(卵白の存在の重要性を学び続けている数日間である。その練習成果はもう数日を要した後に彼の前にお披露目となればいいのだけれど、さて。それよりも今は目の前の市販品を彼に味わってもらうべく、感想届けば小さく笑うはずだ。それから、)え?……あっ、(突然の言葉には、その意味が掴めずに一瞬不思議そうに瞳を瞬いたけれど。指先がチョコレート一粒を摘まみ上げたのを見れば意味も理解出来るから、少しの躊躇いの後にすぐに恐々と口を開いて見せよう。口の中に甘さが広がるのが先か、それとも気恥ずかしさに堪え切れずに口を閉じてしまうのが先か。)
杜若ことは 2022/2/21 03:01 No.86
あー、お姫様抱っこ希望?(彼女の言葉に改めて想像してみるが、口にしようものなら失礼だと機嫌を損ねる可能性はゼロでは無い。スマートな運び方を訊ねながら彼女の反応を窺って。異性と言うだけで理解が難しいのに女子校ともなると未知の世界だ。異性の存在が影響する理由がいまいち理解出来ず「ふーん?」なんて疑問符を浮かべて。折角の彼女の厚意を無駄にしたような発言だったろうか。「今度機会あったらな?ことはんとこの和菓子美味いし。」なんて在り来りな言葉を告げたなら、少しはフォローになっているだろうかと彼女の瞳を覗き込んで。)っふ、…好きなだけどーぞ?(己の服を摘んだ彼女の可愛らしい甘え方に思わず笑みが零れる。そのまま彼女を引き寄せる事が叶えば腕の中へ閉じ込めてしまおうか。どうか今だけは邪魔が入りませんようにと願いながら。)ザッハトルテ…?なんか聞いたことあんな…全然想像つかねー。…なあ、今度作ってるとこ見せてくんね?見てみたい、ことはが作ってるとこ。(想像がつかないのも確かな理由だが、大半の理由は後者。ただ己の欲に従っただけの下心だ。にこりと形作った笑みを向けて、その様子を見られたなら良いのだけれど。元々自分で食べる予定ではあったが、一人だけで味わうのも勿体無い。彼女の反応見たさに差し出したチョコをそのまま口の中へと放り込んだ。)ど?美味い?苺好きだったろ?…あ、風味とかは別もん?(なんて首を傾げながら訊ねるけれど今更感は拭えない。様子を窺うように顔を覗き込んでは心配そうな表情が僅かながらに浮かんでいる筈。そんなやり取りの間にもチョコの数は一つ二つと減っていく。空っぽになった箱を丁寧に袋へ戻しながら、)ことは、どっか行きたいとこあるか?(なんて問い掛けをひとつ。限られた時間、彼女の希望を少しでも叶えられたらと願っての言葉。無ければ無いで次のプランを考える事として、丁度よく住んだ青空はデート日和と言えるだろう。)
出水公平 2022/2/21 21:40 No.91
そういうわけじゃないけど!……公平がしたいっていうなら、まあ、それでも、(いいけど。噛み付くような否定の後、細々と付け加えた言葉を彼がどのように受け止めるかはわからないけれど。それこそ二人きりであるというのなら、どんな体勢であれ構わないのだが。周囲の目がある中での想定だと考えれば、彼の手を煩わせないことが矢張り無難かもしれない、とまでは考えておく。共学校と女子校とでは当然ながら同性異性との関わり方も異なるだろうから、理解を得られなくとも許容範囲。「一番格好良いのは公平だし、気にしないで」は笑いながら告げておこう。同性の先輩に視線奪われることはないとは言い切れないながら、いつだって心を占めるのはたった一人であることに変わりはないので。そんな彼が身を置く隊への差し入れは、また後日彼に相談をしながら行うつもり。)……お言葉に、甘えて?(好きなだけ、その言葉に促されるようにして、引き寄せられるままに飛び込むのは彼の腕の中。頼れる背中へと手を回して、何処よりも安全な檻の中を満喫しよう。)見たらわかるかしら。ガトーショコラとわからなくなる人は居そうだけど……見ててもいいけど、見てるだけじゃ駄目だからね。味見も手伝ってもらうから。(彼へと贈る為に作るチョコレートであるのだから、見ているだけでなく実際に彼の好みの味に近付ける為の手伝いをしてもらおう。尤も彼の観覧を許すまでには、もう少し実践をする必要がありそうだが。)んん……美味しい。ちゃんと苺の味したわ。自分用にも買っておけば良かったかも。(へにゃりと崩れた表情は、口の中に広がる甘さによってより柔らかく。それでも少し逸らした視線は気恥ずかしさを遣り過ごす為となる、覚悟を決めての接触であればまだしも、突然齎される接触にはどうにも慣れる兆しが見えないものだから。)公平が一緒なら、何処でも。……っていうのも本当だけど、小物屋さんに行きたいわ。最近ね、新しい髪留めを入荷したって聞いたから。どんなのがあるのか見に行きたい。(二人で居れば何処だって、デートであることに変わりはない。先に述べるのは己の要望で、向かう道中には彼の希望にも耳を傾けよう。「公平は行きたいところある?」と、それこそ時間の許す間、彼の隣を明け渡すつもりなどないのだから。)
杜若ことは 2022/2/23 01:40 No.100
お姫様抱っこしたいってどこの王子だよ……なんなら今やってやろっか?ことはくらい余裕だろ。(彼女の希望ならばと口にはしたが注目が集まるとなると気恥しさは出てくるもの。それが緊急事態ならばまた別として。然し好奇心という物は抑えられず、冗談めかしながら問い掛けてみて。「いや気にしてねーし…女に嫉妬はカッコ悪すぎるだろ。」なんて言葉にされると擽ったさを感じて視線を逸らした。彼女の気持ちは透けて見えるほど分かっているのだけれど、些細な事が気になってしまうのは物理的な距離の問題か。)やっぱおれ体三つくらいに分身してくんねーかなー。(ふわりと擽る彼女の香りはチョコもあってか甘やかなもの。壊れぬようにと抱きしめる腕にそっと力を込めたなら、彼女の頭に顎を乗せながらどうしようもない冗談がぽろりと口から零れる。)あ、ガトーショコラは知ってる。でもどっちがどっちって聞かれたら分かんねー自信あるわ。…ははっ、味見なら任せろよ。プロだぜ?(頭の中で想像を膨らませたそれは果たして一体どっちか、自分でも分かり兼ねるけれど機会があれば彼女の博識振りを披露してもらう事として。チョコと一緒に彼女の表情まで蕩けている姿を見れば自然と目を細めて愛おしさ募る中「そっか。」と一言だけ告げてふわりと髪を撫ぜた。)そう言うと思ったわ。……ああ、ことは集めてるもんな。おれが選んでやろっか?苺大福の髪留めとかねーかな。(なんて揶揄い混じりに冗談を口にしながら楽しげに笑みを浮かべて。選びたい気持ちは本当なのだけれど、センスが問われる髪留め選びは果たしてどうなる事やら。勿論駄目出しは甘んじて受け入れるつもりではあるけれど。)あ、そういやお返し何がいい?リクエストあるんなら今のうちに聞いとくけど?(ふと思い出したのは来月の事。気が早すぎるかとも思ったが何が要望があるのなら其れに応えたいという気持ちで。そんな楽しいやり取りが一先ず落ち着いたところで、こっそり裏口から抜け出す様はまるで逃避行。「放課後デートっぽくね?」なんて笑いながら彼女へと問い掛けて。)
出水公平 2022/2/23 19:26 No.104
えっ……お、重いだろうし。公平、別に王子じゃないし……わたしもお姫様じゃないし!(確かに女の子の憧れであるという節は否めないお姫様抱っこではあるものの、彼も自分もまた柄ではないと言ってしまえばそれまでで。余裕と彼は言うけれど、それにしたって自らの体重をしっかり把握している身としては、その手に負担を掛けたくないというのが正直なところだから。気にしていないのであればそれが一番とは思いつつ、逸らされた視線には楽しげに笑っておこう。)分身してどうするの?当番制で色々やるってこと?(頭上へと感じる重みだって慣れたもの、彼のそれとわかっているからそのまま受け入れるような体勢のままで。尋ねた音は興味本位だ。当番制としなければ、些か不平等な役割ばかりを与えられる個体が出来そうだから、とまで考えたところで、分身など出来やしないのだから夢物語だけれども。)両方作って並べて見せた方が良かった?今度やろうかな……味見のプロがどっちも食べてくれるだろうしね。(一度に食するにはどちらも合わせてとなると量がありそうな気もするけれど、それはそれで彼に持ち帰ってもらえば良いだけだ。その日に向けてラッピング用の袋等も用意しておくことを心に決めておくとしよう。)苺大福の髪留め……?貰っても付けないからね?というか、わたしが二つ選ぶから、どっちが良いか公平が選んでくれればいいわ。(私服のセンスからして定評のある彼のこと、本当に苺大福の髪留めが見付かった際には手に取ってしまいそうな姿が容易に浮かぶものだから。新たに入荷した品々も、それから普段から気に掛けている品々をも前にして、どれが似合うか彼に尋ねる様はれっきとしたデートとなるに違いない。)ん-……あ、何処か行きたい。水族館とかでいいんだけど、公平の一日を独り占めしたいわ。いきなり呼び出されちゃったら仕方ないけど。(非番であっても場合によっては本部に呼び出される可能性があることは理解の上で、それでも一日くらいは自分だけのことを考えていてほしいとは、ホワイトデーのお返しにしては欲張りが過ぎるかもしれないが。「考えておいて」と駄目元での我儘を投げてから、裏口から抜け出す際にはより笑みも弾けている。「制服デートだね」と彼の言葉に肯定重ねて、その掌へと己の指先を絡めてしまおう。)
杜若ことは 2022/2/23 22:32 No.107
当番制じゃなくて、元々の役割分担決めんの。仕事するおれ、休むおれ、ことはとデートするおれ。完璧じゃね?(つい先日友人と同じ会話をした事を口にしながら理想が現実になればいいと尚更に思う。途方もない事だと自覚はあるけれど、理想を語ればキリがない。シビアな現実から目を逸らす時間もきっと大切だろうと言い聞かせて、楽しげに語る表情と声色は年相応な少年らしさも窺えるだろう。)当たったらなんかご褒美貰えんの?事前予習ナシで当てたらすごくね?(似ていると耳にしただけで実際比べて見た訳では無く、若干ゲーム感覚なのは否めない。何れにしても彼女の手作りが食べられるのなら何だって良いのだが、話のネタとして得意げに笑って見せた。)おれの選択肢二つかよ……まあいいや。おれもなんか欲しくなるなー、何かいい感じのやつねーかな。(わざとらしく不満げな物言いは冗談を含ませていたが、次の間には気にする素振りも無いだろう。小物が売っているお店など一人では無縁だが、普段見ないものをまじまじと観察するのは面白い。とは言え小物屋に自分好みのものが売っているとは到底思えないけれど。)ははっ、別にいつでも独り占めしていんだけどな。ま、仕事の話は置いとこうぜ。邪魔が入らない前提で楽しんだ方がいいだろ?(自分で選んだ道とは言えこの時ばかりは何も起こらない事を願う事しか出来ない。今までも何回か緊急で呼び出しを食らったこともあった。せめて彼女との時間くらいは何も考えずにいたいものだと不安を消し去るように笑みを向けて。己の多忙の為に時間が制限されている中、今日くらいは楽しい気持ちで満たされて欲しい。絡められた手を今一度強く握り締めながらご機嫌な笑みで街へ繰り出そう。気になるものがあれば立ち止まり、お腹が空けば何がつまむのも良い。本日の目的である小物屋での任務、彼女に似合うだろう髪留めを無事選ぶ事が叶えばその場でつけてあげてもいいかもしれない。まだまだ物足りない気持はあるけれど、今日だけが全てではない。別れ際にもう一度充電と称して彼女の温もりを感じたなら彼女の名を呼んで、此方を見上げてくれる事が叶ったなら一瞬のうちにその柔らかな唇を奪ってしまおう。叶わぬならそれはそれでまたの機会にするとして、何れにしても最高の形で今日を終えたのなら万々歳だ。)
出水公平〆 2022/2/24 09:57 No.111
それ、最初の話し合いがすっごく重要になりそう。後から絶対文句言う公平が出てくると思うわ。(くすくすと笑いながら紡ぐのは、思い浮かべるのには容易い理想の話だ。特に一人目の彼からは不平不満が易々と零れ出てきそうなものだとは、彼の話に乗る形で。)えっ、ご褒美?どっちも最初から公平に食べてもらう為のものだから、景品にはならないわよね。……か、考えておくわ!(がトーショコラとザッハトルテ。並べるまでもなく製作過程からして違いが出る二品ではあるけれど、作り方を知らない者からすれば完成形を並べたところで見当も付かないのだろうか。それをどちらがどちらかと言い当てたところで、景品の用意が必要かは要検討として。そうした少しのことでも楽しさを見出せる彼を好ましく思う気持ちだって本当だから、結局何かしらのご褒美を用意してしまうこととなるのも、予定調和と云えるだろう。)公平も髪留めする?可愛いやつ。わたしが選んであげる!(自身で二択まで選択したものを、最終的に彼に選んでもらうつもりであるのは変わらない中で。彼が己と同じような髪留めをすることはないだろうけれど、冗談半分に問い掛けて見せよう。可愛い髪留めでも、己とお揃いの髪留めでも良いかもしれないとは、小物屋に辿り着いた際にあらためて提案をしてみるつもり。)そんなこと言ってると、もっと我儘言いたくなっちゃうじゃない。邪魔とは思わないようにしてるの、これでも。公平達がしてくれてること、大事なことだってちゃんとわかってるし。(“思わないようにしている”だけで実際には当然思っているのだけれど、それは言わないお約束だろう。それでも理解をしているのだって本当だ。彼らが、彼らの立場に在ってくれているおかげで、助かっている者は大勢いるのだから。だからこそ、こうして二人で過ごすことの出来る時間を大切に過ごしておこう。絡めた手はそのままに、街中を歩む中で視界に入った何かしらについては彼と共有をして。目当ての小物屋では彼是悩む杜若の姿が見受けられたに違いないけれど、見守ってくれる彼の姿もまた傍に在ればいい。二択に絞った後、彼の手によって一択となったであろうそれの行方は二人のみぞ知ることとして。――別れ際の触れ合いだって、誰にも見られぬ秘め事だ。玄関への扉を開く前に赤く染まり切った頬を冷ます為の時間を要したのは、全部全部、彼のせい。綻ぶ口許すらも、全部。)
杜若ことは〆 2022/2/25 01:38 No.115
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