Wonderful
Chance

Free

 
ペア 2022/2/13 16:49 No.6
(前日の家庭科室は大いに盛り上がった。家庭科部の部員だけでなく、家で調理ができない子や作り方が分からない子に向けて、先生が家庭科室を全面開放してくれだのだ。自身もレシピ本をいくつか持参し、事前に相談をしていてくれた生徒にはちょこちょことアドバイスをして回ることも。──そうして迎えたバレンタイン当日。体育館ではそこらかしこから甘い匂いが漂っている。勿論、自分の手元からも。)わかってはいたけど、人が多い……。(苦言というにもぼんやりとした言葉は、ただ本心を吐き出したようなもので。そんな中で一人の女生徒に声を掛けられる。昨日一緒にお菓子作りをした生徒だ。「丸嶋さん!昨日はありがとう!」可愛らしい笑顔に、表情をわずかに緩めて。)いいえ。こちらこそ、お役に立てたなら嬉しいです。ラッピング、綺麗ですね。(先輩であったその人と会話をしていれば、自然と同じような人達にも声を掛けられる。昨日はああだ、試食がああだ、入れ替わり立ち代わり話しながら歩くその一団は、チョコレートを貰う隊員たちまでとはいかずとも、目立つ集団であることに変わりはないだろう。可愛い女の子たちの可愛い笑顔を見ることはむしろ大歓迎であるが、困ったことがあるとすれば。一つは「丸嶋さんは誰に渡すの?」そうこの質問であろう。瞬きを一つ、平常心を務めて。)生駒隊に。……でも、すごい人だかりですね。(二つ目はこれ。こちらの集団なんてものともしないくらい盛り上がっている隊員たちの、一人に目線を向けて。)
丸嶋有海衣 2022/2/14 15:25 No.18
(13日の生駒隊作戦室はいつもに増してカオスだった。騒ぎ立てる海といじけるイコさん、ふざける水上先輩にツッコミが炸裂するマリオ。いやもう収拾なんてつきやしない。ただでさえ矛先が此方へと向いてるのだから、のらりくらりと躱すだけ。「おれは単なる荷物運びですって」なんて、あくまで生駒隊へとチョコを運ぶ役目に徹するつもりで。これが仇となって余裕あるような態度がまた彼女がいるだの抜け駆け禁止だの白状しろだの騒ぎ立て始まったので「すんません明日のミーティングがあるんで抜けさせてもらいます~」と早々に退散した。──そうして迎えたバレンタイン当日。関西弁が珍しいのか赤い差し色の隊服が目を引くのか、あっという間に女の子に囲まれてしまえば確かにこれはイコさんなら大喜びだろうなってここには居ない隊長の顔を思い浮かべた。これがきっとその辺の公立校ならイコさんでも海でも誰にでもこの役割を譲ってしまうのだけれど、星輪女学院だけはそうはいかない。なんのために此処へ来る権利を勝ち取ってきたかなんて理由はひとつだけ。他の女子生徒より頭ひとつ抜きん出た風貌を視界の端に捉えたなら、泣きぼくろが微かに揺れる。周囲に集まる人垣が女子ばっかりなのも彼女らしい。僅かに交わった視線は刹那に解けてしまうけど、互いを認識すれば何を考えているかくらいは伝わってほしいものだ。そんな男は同じスナイパーである別役太一に注目を集めた一瞬のうちに姿を眩まして、体育館裏へと逃げ込んだ。男の姿を探す生徒はきっと何人かはいるだろうけど、この姿を晒すのはたった一人にのみ。彼女が探しに来てくれるまでは隠れ続けるつもり。)
隠岐孝二 2022/2/14 18:05 No.22
(視線が絡んだことすら周囲には分からないような、そんな刹那のことであったけれど。近くでわいわいしていたフードの男の子へ彼が注目を映した瞬間も、意識はしっかりと彼に向かっていた。瞬き一つで姿を消したその人を追うように、そっと少女も姿を消すだろう。「あれ?生駒隊の人は?」「あれ?丸嶋さんいは?」離れた集団でささやかれる。けれどもそれだって、あっという間に喧騒に紛れていくだろう。なんてったって今日はバレンタイン。みんなきっと、浮かれているのだから。──そっと体育館から抜け出して、まずは耳をすませてみる。少し遠くで聞こえるのは彼を探す声だ。「隠岐隊員ー?」「いないのかな」そちらの方向へ自然に足を向けて歩いて行ったなら、数人の女生徒とすれ違うだろう。「こっちに行ったような気がしたけど」「いなかったね」そのまま体育館の中へ立ち去って行った彼女たちの背に、声に、逆らうように体育館裏へと。木々の影になって暗いそこには、さみしそうな焼却炉だけがぽつんと佇んでいる。それをものともしないように、それこそが目的であるかのように立ち止まって、)こ……、(名前を呼ぼうとしたところで。何となく迷ったのは、ここが学校だからであろうか。)……おきたいいーん。(だからなんとなく、普段呼ばない呼び方で彼を呼んでみよう。声を張り上げることはない。それはともすれば独り言のような、ささやかな響きであった。されど、少女は当たり前に信じて待っているだろう。赤い紙袋を両手で持って。静かに。静かに。木枯らしに林がざあと鳴った。)風邪ひいちゃうよ。(風に乗って頬にかかる髪を片手で押さえて。いる筈のその人へそっと声を掛ける。)
丸嶋有海衣 2022/2/14 23:55 No.30
(己が消えたところで賑やかな隊員が注目を集めてくれるだろうから問題なし。体育館裏に忍んで知らぬ声をやり過ごす。残念だけど、隠れてる身をのこのこ晒すほど阿呆ではないので。そうして、今度こそ鼓膜を揺らしたのは違うことのない愛しい人の声。けれど普段と違う呼び方に思わず吹き出して笑ってしまえば、彼女の前では隠れるつもりがないのだとバレバレなんだろう。)はいはい、隠岐隊員はここにおりますよ~(ひょっこりと彼女の前に姿を現せば、先程まで浮かべていた人当たりの良い笑みも一緒に携えて。呼ばれたのが隠岐隊員なので。いつもの呼び方をされるまでは、この調子を纏っておこうか。)トリオン体やからへーきですわ。風邪引くならアミオさんの方やない?(先ほど囲んでいた女子たちから聞いた彼女のあだ名を呼ぶ声は揶揄い半分、心配半分。歩み寄っては風に靡く髪の毛を押さえる彼女の手に触れて。温もりを感じようとしたけれど)あかん、冷えてんのかわからんわ。(換装した不都合がこんなところで現れた。「どっか風の当たらんとこある?」と尋ねては、その身を気遣って。それでもまだ赤い紙袋が目の端に留まろうとも指摘するつもりはない。これが戦闘なら周辺のマップをマリオに頼んで見せてもらうのだけれど、オペレーターが居るはずもなく。頼りになるのは目の前の彼女だけ。早くしないとまた男を呼ぶ声がどこからか聞こえてくるんだろう。そこに混じって彼女の名前も呼ばれているんだから「ようさんおモテになるよーで」と揶揄いひとつ。)
隠岐孝二 2022/2/15 11:12 No.37
(冷たい風に軽やかな声が乗る。少女が笑い声のすした方向を当てるのと、見知った泣き黒子が現れるのと、どちらが早かっただろうか。冬の乾いた空気に瞬き一つ。とぼけた様子に少女のくちびるも、分かりにくく笑っていた。)拗ねてる?……カイロもってきてるから平気。何回聞いても不思議だね、そのとりおんたいっていうの。(お互いいつもと違う呼び名に、判りにくい冗談を置いて。自分からも一歩二歩、彼の方へ歩いていこう。服装以外はいつもと変わらないように見える、彼の姿をじっと見つめ。掌が伸びてくるのが分かったなら、やっぱり自分から見近付いてみる。髪を押さえたまま頬を摺り寄せるように。実際触れ合う手は人のものとまるで変わらないように思えるから、本当に不思議なものだ。)わかんないんかい。(今度はこちらから、おどけた調子で。「掃除道具とか園芸の道具とか、そういうの入れてる倉庫なら近いよ。」お言葉にお答えしたのは、寒いからというより遠くから聞こえる声から連れ去りたかったから、という方が大きいだろう。女の子たちの声を耳に絡ませながら、叶うなら触れ合う手をそのまま繋いで引いていくつもり。「実はまんざらでもない」って正直に告げたのは、その何倍も聞こえる彼の名を呼ぶ声に妬いてしまったから、かもしれない。案内先の倉庫は体育館から少し離れた静かな場所だ。イベントで賑わう学園の生徒はそうそう来ないし、それをまとめる先生もまた然りだろう。)女子高でこういうこと、するとは思わなかったな。(砂まみれのうち履きシューズは後で手洗い場行きだろう。扉を開ければ案外埃っぽくない空間に、窓の光だけがキラキラ差し込んでいる。くるりと振り返れば、ようやく)──ハッピーバレンタイン、孝二くん。(ようやくそうやって、いつも通りに名前を呼ぼうか。握った袋は、実は渡すタイミングを計りあぐねている。)
丸嶋有海衣 2022/2/15 23:33 No.50
拗ねてたらどうします?……準備がよろしいことで。本当はおれがあっためたかったんやけど。残念、カイロに負けたわ~(眦を緩め泣きぼくろを揺らしては挑発的な笑みを浮かべて。拗ねた子どもをあやすように構ってほしいのだと暗に示した。そうして近づいた距離で人差し指を伸ばした先にあるのは彼女の心臓の下あたり。「この辺にトリオン器官っちゅうのがあるらしいんやて」と触れない程度にレクチャーするのは彼女にも備わっているものだからだ。まあだからってボーダーに勧誘するつもりは毛頭ないけれど。大阪から三門市へと移り住んで、守るべきものが此処に居るという事実に助けられているところもあるので。)触れてる感覚はあるんで。アミオさんのほっぺたはやぁらかいなあ?(擦り寄る頬のぬくもりを感じられずとも、繊細な指先が捉える感触は間違いないもの。けれど初めて触れるみたいな雰囲気を醸したのは呼び方を元に戻してないため。そんな他愛ない戯れを続けながら、示された場所に「そこでええなら」と頷いて。満更でもない様子の彼女が王子様として振る舞うなら自身はお姫様になってしまうんだろうかって自然と笑ってしまった。せっかく手を引いて導いてもらっていたのに、そんな男の笑い声のせいで『どっかで声しなかった!?』と息巻く音が聞こえたので)あかん、ちょっと飛ばすわ。(ぐっと手を引き寄せて抱えたなら、そのままグラスホッパーで素早く軽やかにその場から離れてしまおう。人目につかぬよう着地を果たせば「此処で合うてる?」と確認。間違いなければ彼女と二人だけで倉庫の中へと姿を消してしまおう。)ははっ、やっと名前呼んでくれたわ。忘れられたんかと思った。(差し込む光を浴びて艶めく髪に目を奪われて、これが戦闘中だったら撃ち抜かれてたなって内心笑ってしまうくらいには彼女に夢中。愛しの唇が男の名を模れば満足そうに頬を緩めて。それから、まだ存在を明かされぬ紙袋に少々の意地悪をしたなら)このままやとおれ手ぶらで帰ってしまうんやけど。アミィからはなんもないん?(待ちきれないとばかりに離れてしまった手を天に向け大袈裟に仰いだ。)
隠岐孝二 2022/2/16 15:55 No.55
(甘えたを気取るようで構いたがる身体が、頬を支点にぐぐぐと彼へ体重を掛けていく。レクチャーを受けてさすってみる胸元に何かはあるらしいのだけれど。今のところ彼と同じところに行く気がないのは、半端な覚悟で居ては行けない場所だと思っているから。)ふぅん?……隠岐隊員の手、本物のひとみたい。痛い思いとかしてない?(だから市民として大人しくその身を心配する。呼び名でからかい合うのも少し寂しくなってきたなら、気を使わない場所を目指して歩き出そうか。地面を内履きで踏むちょっとした背徳感は長くは続かず。あっ、という暇もなく魔法のように宙を舞う。慣れない浮遊感に、女の方は着地のあとも分かりにくくぽかん顔だ。靡く黒髪の余韻を横目で見ながら。)合ってる。魔法にかかったのかと思った。(素直に口を滑らせて。そうしてようやく追いついてきた感情が笑みの形で頬に浮かぶのだろう。狭い室内に入ってから呟く。「なんか、空が似合うね」戦う彼を知らぬまま。)──名前、孝二くんもちゃんと呼んでくれたから、プレゼントしちゃおうかな。(降参かそれともバンザイか。どちらにしたってからっぽの彼の両手に背中を押され。冗談めかした言葉はわかりやすい言い訳として。赤い紙袋を両手で持ち直して差し出そう。小さなそれの中には、綺麗に包装された小箱。手のひらサイズのそれには、とっておきのチョコレートが3粒入っている。)生駒隊ってさ、確かみんなで5人だったよね。隊室に持って行ってもらう用のはちゃんと作ってあるから、これはわけて食べちゃダメだよ。(そんな、ちょっとした約束をねだりながら。)
丸嶋有海衣 2022/2/17 20:25 No.63
(構いたいの裏側にあるものは構われたいである。構ってくれるから構いたくての相互効果を得られる彼女との関係はきっとこの先も良好だと思えるくらいには掛けられる重みが心地いい。「ほんまは触って教えてあげたいんやけど」なんて戯けてみせては本音を忍ばせた。)換装解けばほんまもんのおれになるんやけどね。痛い思いしてたら狙撃なんてやってられへんよ。(自分が痛みを感じるなら、其れを相手に向けることなんて出来やしないだろう。痛みがないときちんと理解しているからこそ、男は引き金をひく。それでも非常になりきれない男は可愛らしい後輩相手に日和ることもあるけれど。大して体格さえも変わりやしないのにトリオン体であることを利用して元より自身よりも軽い彼女を抱きかかえて行くのは単に格好つけたかっただけである。地に下ろした後で彼女の表情に気付いたなら、してやったりとくしゃり頬を綻ばせた。)こんなん普段できひんからな~ ナイショにしててな?(彼女にだけ掛けた魔法は誰にも知られないまま、解けなければいい。ずっと二人だけの秘密として隠しきってしまおう。狭い倉庫に二人きり、埃っぽくなく窓からの日差しが穏やかに煌めく空間はお誂え向き。)呼んでくれるまで呼ばんつもりやったもん、おれ。プレゼントされんの楽しみにしてたんはほんま。(空虚を掴む両掌は終ぞ本命を手に入れる。差し出された紙袋の持ち手をしっかりと握り締め、中に秘められた甘い粒に眦を緩めた。「うれしいわ、おおきに」と感謝の言葉を告げた後に続けるのは)そんなん当たり前やん。アミィから貰ったもんわざわざあげませんて。これはおれが換装解いた後に食べるもんなんで。(5人で合ってるし、別に用意してくれてるのも有り難い。だからこそ受け取ったばかりの此れを誰かと分けるつもりがないことも語気強めに告げて。そうして食べるなら今じゃなく、生身の体となった隠岐孝二の中に取り込みたいものだ。)生駒隊用んはまた体育館で貰ってもええ?見せつけるのも楽しそうやん。(なんて疼いた悪戯心は止められそうになく、泣きぼくろがご機嫌に揺れた。)
隠岐孝二 2022/2/18 12:02 No.71
(胸元をさする掌を止めて「えっち、」なんて唇を尖らせても、狙撃手たる彼の姿を想像して「そっか、」なんて少しだけ眉を下げても、最終的にはふつりと柔らかな笑みを浮かべるような、そんな心地の良いよっかかりあいを好ましく思う。あっ、というまの空の散歩はとってもかっこよくて、でもくしゃくしゃに笑うすがたはこんなにかわいいなんて事実は、出来るだけ世界に秘密にしておきたいところ。子供みたいな意地の張り合いの振りも、また然りだ。)期待に応えられるくらいには美味しく仕上がったよ。孝二くんが来てくれるって聞いてから余計に気合が入っちゃったかも。(変な謙遜をするつもりはないから、味につては保証しよう。好みについても今日までに、ある程度は把握していると思いたい。食べさせることが好きな女であるから。「どういたしまして」そうやって柔く眇めた瞳が、思ったより勢いよく飛んできた反論にまんまるになってまたたく。ささめくような笑い声が、思わず、唇から転げ落ちて。)……ほんまもんの孝二くんで食べてくれるんだ?孝二くんのそういうかわいいところ、好きだよ。(ときめきはそのまま口から滑っていく。表情の可動範囲が少ないだけで、感情はそこそこ豊かに動く方だし、言葉にするのには何のためらいもない方だ。)え?ごめん、生駒隊の分は教室においてる。……実は、……(珍しく口ごもって、指さしたのは先ほど彼に手渡した紙袋。中を見れば小さなメッセージカードに『○時に近くの時計広場で』と記してある。「その時渡せばいいかなって……」いたずらのつもりで仕込んだデートのお誘いが、別のいたずら心とブッキング。素知らぬ顔した女の頬も、流石に微かに赤らんで。)
丸嶋有海衣 2022/2/20 10:21 No.80
(からりと笑って戯れとして冗談は程々に。揶揄うのも揶揄われるのも心地いい時間がずっと続けばいいと願っても限りあるものなので、刹那さえ大切に愛おしく過ごそうか。)そら楽しみや。イコさんら押し退けて来た甲斐がありましたわ。(お墨付きの味は後ほど堪能するとして、意地でもこの企画に参加できたことを感謝しよう。隊長たちへの埋め合わせはたくさん貰ったチョコを与えればいいかって適当な考えを巡らせて。なんせ男は彼女から貰えたチョコがあれば充分なので、自然と持ち上がる口角はご機嫌の様相。)特別なもんやし、ちゃんとおれが食べたいやん?普段の差し入れとかはそのまま食べてまうけど。(可愛いと称されるのも彼女からなら悪くはない。何度目かの泣きぼくろを揺らしたなら、サンバイザーを取りながら手招きをして。いっそう距離が縮んだならそのまま唇の端にキスを落とそうか。おれもすき、そんな想いを乗せて触れ合わせたのは一瞬だけど伝えるには充分過ぎるほどの手段となり得るので。満足そうに双眸が弧を描き、当たり前のようにサンバイザーを被り直せば手櫛で髪を整えて。)ん?……ああ、そゆことな。ええよ、時計広場で待ち合わせてデートしよか。(中に認められたメッセージカードの文字に視線を落とせば頷いて。僅かな時間しか作れないだろうけど、それでも彼女からこんな可愛らしいお誘いを受けたなら断るはずもなく。悪戯をするなら自身に有益な方を選ぶのは真っ当なことだ。結われた艶めく髪を指に絡め取って、戯れるのは今この瞬間に彼女と二人だけの空間を楽しんでいるからで。この時間が終わってほしくない感情と早く待ち合わせの時間となってほしい感情との狭間で揺れた。)まだ戻りたないわ~(なんて泣き言を零してはもう暫く甘える作戦。)
隠岐孝二 2022/2/21 09:08 No.88
あ、そのままでも食べられるのは食べられるんだ。面白いね。(とりおんたいに対しての疑問は尽きぬから、こうやって問いかけることがこれからもしかすれば増えるかも、しれない。彼と共に居れば話題は尽きることなく、いつまでだって喋っていられるものだから。おしゃべりな唇をいったん止めたのは、猫のように自分を招く手に引き寄せられて。あ、っというまのふれあいは、きっと温度を感じる暇もなく。それでも柔らかな感触と一緒に、嬉しさがもともと高い指の先まで体温を上げていくような心地。さて、狙撃手たる彼の鮮やかな手腕の邪魔をすることが可能だろうか。もしもできるなら、そのサンバイザーをちょっとだけ引っ張って引き留めてしまいたい。出来ても、出来なくても、)……くちには、してくれないの。(いたずらな瞳をまっすぐと向けて。おかわりを所望。彼とお揃いの、ご機嫌型のくちびるで。)ほんと?ありがとう。あのね、バレンタインなんだけど、オペレーターの子……マリオちゃんの分もあって、それも説明したくて。(本当のことを淡々と並べ立てているだけなのに、どこか言い訳めいてしまうのは、きっと申し訳なさと気恥ずかしさが多分に含まれているから。小さく肩をすくめれば、今日も綺麗に結い上げた髪の毛が静かに揺れた。くすぐったいというにも足りないくらい、それでも確かに彼に触れられている感覚。「楽しい?」問いかけに意味などほとんどない。お話してほしいだけで。)駄目だよ、応援してくれる子たち待ってる。って、私が言ってもあんまり説得力ないけどね。(なにせ王子様を攫っていった張本人であるので。伸ばした右手は彼を真似て、そのふわふわの黒髪を優しく撫ぜようと。)がんばれ、隠岐隊員。その後は、また私の孝二くんになってね。
丸嶋有海衣 2022/2/22 23:00 No.98
吸収率上がるらしいから食べ過ぎると太るって女子たちが言ってたわ~(専門的なことは男もよくわかってないので聞き齧ったことだけをそれとなく。へらりと弛ます頬が無責任さを醸していた。)アミィさん、あんま誘惑せんといて。おれ、けっこー我慢してるんやけど?(整えたはずの髪がくしゃりと歪んでも、引き留められたサンバイザーが強情さを表すこともない。して、おかわりを所望された男は「敵わんな~」と白旗を挙げる。歯止めが効かなくなったって、それはもはや彼女のせいにしてしまおう。なにせ溺愛しているので、こんな誘惑に耐える甲斐性など持ち合わせてない。今度は邪魔になるサンバイザーを外すことはせず、くるりと反転させたなら肩を抱き寄せ確かに唇同士を重ね合わせよう。やわらかな感触はきっとチョコよりも甘く、熱で蕩けてしまいそうなほど。いくらでも味わっていられると、交わす時間が流れゆく。離れゆく唇が名残惜しげに艶めく息を吐き出して、そのまま紡ぎ出す音は「またあとで」と更なるおかわりを男も強請ろう。)マリオの分もあってよかったわ~。なかったら拗ねとったで、絶対。(彼女のこういう気遣いが出来るところが好きだ。生駒隊としてオペレーター含めて扱ってくれる優しさが嬉しくて、あからさまにご機嫌な相好となった。単に髪の毛に触れるだけでも楽しいし、可愛らしい制服姿を眺めるだけでも満足してしまう。生駒隊の隊服と星女の制服が共に赤い色であるから、どことなく揃いの感覚もあって「並んでるとこも写真撮ってもらおか」とか宣った。一般生徒に紛れてしまえば、それさえも不思議な光景でもないのだから。)せやな~応援してくれる子らには応えな。イコさんたちに質問責めにされそうやし。……ふは。もうちょいだけ撫でてて。アミィの孝二くんでおりたいもん。(差し出す髪は、ぬくい指先に触れてほしい素直な仕草。許される僅かな時間を恋人同士として過ごせたなら、最後にもう一度だけ唇を掠め取って。それから体育館へと戻るときは彼女よりも後になるように時間差で何食わぬ顔をしながら別役隊員に話し掛け輪へと加わるのだろう。生徒たちに囲まれて賑やかな中、やっぱり視線を向けてしまうのは彼女だけ。この後ある待ち合わせには、先ほどよりも甘い予感も彼女の体温も期待したっていいはずだ。恋人たちのバレンタインはこれから本番を迎えるのだから。)
隠岐孝二〆 2022/2/24 17:40 No.112
……今すごい悪いこと思いついちゃったけど言わない。(全部吸収してくれるならそれもまたありなんじゃないかって。「孝二くん、ニキビ出来ちゃう」ぶつぶつと名残惜し気に呟きながら、それでも口にはバッテンマークを作って見せる。戯れとして。)──……ごめんね?(これもまぁ、全く悪びれないしたり顔で。確信を得た指先は彼の首へと回って。こういう時に近しい身長がありがたいと素直に思っている。料理好きの唇は、ある程度の温度ならわかるって彼にも話したことがあるかもしれない。でもそんなこと考える方が野暮なので。同じように息を吐いた時、ゆっくり開いた瞳には、彼のそれしか映らない。「まってるね」と注文も受け付けて。)ひとつだけリボンが違うやつね。他のは臙脂色だけど、マリオちゃんのはピンクのやつ。男所帯で女子一人って、こういうイベント大変だろうから。焼きもちやかないでね、隠岐隊員。(彼女のものだけ一回り大きいのは目に見えてわかることなので。あらかじめ冗談めかして説明をしておこう。無論今渡したものと隊員皆に渡したものを合わせたなら、彼のものが一番豪華である、とは言わなくてもわかること、なのだろうか。それは彼次第。)いいね、天才。ファンです写真撮ってもらってもいいですかってやればOKかな。(冗談交じりのシミュレーションも、もうそろそろのタイムアップを感じさせればちょっとだけさみしい。だから、甘えたなふわふわ頭には両手を伸ばして、甘えてしまおう。)……ふふ。こういう寒い日に触っても、ひえってならないのがちょっと自慢なんだ。(くしゃくしゃと優しく髪をかき回す手は、スコーン作りには向いていないけれど。遠慮も躊躇いもなく大好きなひとに触れられるから、悩みはするけど嫌いじゃない。思う存分可愛がって可愛がられ、軽めのふれあいはおかわりの前金として。そしらぬ顔で輪の中に戻っていく。人もまばらになったなら、程よいチャンスを狙って写真撮影を頼んでみよう。口実のために置いてきた隊室用のクッキーは、こっそり待ち合わせた時計の下で。わざと逸らしていた視線を取り返すように、真っすぐと見つめた瞳は、分かる人にだけ分かるようにあたたかくとろけるのだ。)お疲れ様、孝二くん。──どこまでだったらいけるだろう。(もう少しだけ。時間が許されるまで。君とだけ。どこまでだって。手始めに伸ばした指先で、秘密の合図を撃ち鳴らそう。)
丸嶋有海衣〆 2022/2/26 01:27 No.123
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